振り返りについて考える。
振り返るというのは、結局のところカードゲームがうまくなるようなものなんだろうと思う。
カードゲームというのは、盤面に応じて手札を出していくゲームだ。人生というのはカードゲームによく似ている。限られた手札を盤面に合わせて使っていく。
ただし、人生はカードゲームとすこし違うところがある。
それは、みんな自分の手札をよくわかってないことだ。
多くの人間は自分の手札に何があるかわかっていない。自分はどんなことが得意なのか?どんな場面で力が発揮できるのか、あるいは何らかの状況にある時、明らかに弱体化してしまう。そういったことが1つ1つ見えていなければその手札はうまく使えない。
客観的な指標が見えるものはある程度理解しやすい。例えば同級生に比べてテストの点数が取れるだとか、他の同級生に比べて足が速いとか。そういったことは数値化されて非常に見やすい。一方でそういった数値化されないもの、観測しづらいもの、はなかなか自分の手札として認識することができない。例えば他の人たちよりもうまく説明ができるとか先輩たちとうまく関わることができるとか、他人に合わすことができるとか。あるいはその逆で他人とうまく合わせられないとか。説明が下手だとか。そういったことは実は自分では結構認識しづらいものである。この普段数値化されない能力といったものはいつ気づくのだろうかと言うと、実際そういう場面に何度も遭遇して、他人から指摘されて、それで「あ、自分はこうだったのか」と気づくのである。これこそが振り返りだ。
例えばテスト勉強を振り返ってみようと考えた時に実際の成績が良かったか、悪かったかというのは事実であるが、その事実に対してどういった取り組みを行ったかというのは、振り返らなければなかなか見えないものである。社会の点数が取れたのは、ワークを何周もすることができたからだとか。数学の点数が悪かったのは復習しようと思っていたのに寝てしまったとか。
自分の手札に何があるのかというのは経験するだけではなかなか分からない。それを振り返って初めて気づくものである。先ほどの例であげれば、ワークを何周もしたけども、成績が上がらない人もいれば、ワークを何周もして成績が上がったという人もいる。様々な勉強方法を試していく中で自分にあった勉強方法というのが見つかってくるのである。これはすなわち手札だ。
復習しようと思っていたのに寝てしまったというのも自分の手札の1つになる。これはそのままだと手札にならないので、どういった環境であれば寝ずに勉強ができるのかとか。あるいは夜はどうしても寝てしまうので、それは変えられないから、夜に勉強することは諦めてしまうというのも1つである。つまり、夜どうしても起きて勉強することができないというのは自分の手札なのである。ネガティブに見えるかもしれないが、これは常に自分に影響を及ぼしてしまうタイプのカードなのである。ただ、このカードが悪影響を及ばさないプレイングは可能だろう。夜が使えないとわかっていれば、使わなくても問題ないように生活すればよいのだ。
そう考えると、この人生というカードゲームというのは可変的なものと固定的なものがあることが分かる。それも全て可変であり、全て固定であるというよりかは、ある程度可変的であり、ある程度固定的である。
手札はおよその場合、「こうすればこうなる」と言った固定的なものであろう。一方で、じゃあその場面でどのカードを切るのかというのは可変的な部分である。
例えばトランプの大富豪で考えると、手札にあるカードは決まっている。それは配られたカードで勝負するしかないからだ。とはいえ、どの順番でカードを切っていくのかということはえ変えることができる。これが固定的なものと可変的なものの、大きな違いだ。ただ、人生において多くのプレイヤーは手札に何があるかもわからずに大富豪をプレイしている状態に陥っている。
振り返るというのは1回だけ固有の状況に対して行うものではない。様々な状況において振り返りを繰り返していくことで、自分の手札には何があるのか?これをまず明確にしていくのが大切だ。そうすれば、その後は各場面に対してどのカードを切っていくのかというプレイングのところも洗練されていくのである。
自分の手札というのは、自分の性質やり方のみに限定されるものではない。例えば友人だとか自分の持ってるお金だとか、そういった外的なアセットのようなものも自分の手札になるだろう。これは状況に応じて明らかに変わっていくものであり、また観測もしやすいので、それほど振り返る必要はないかもしれない。整理することはとても大切だが。
少し話が散らかってしまった。とにかく人生とはカードゲームに似ている。ただ、残念ながら手札がよく見えないのだ。だから、自分の手札を少しずつ明らかにしていく必要がある。その方法が振り返りなのだ。経験を経て、何ができるのか、何ができないのか、それを明らかにしていく。
振り返りとはカードゲームが上手くなる方法みたいなものだろう。
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