幸福に麻痺している

きっと、幸福に麻痺しているんだよな、みんな。

朝、暖かい布団で目覚める。外敵におびえなくて良い。

蛇口を開くと清潔な水が出てくる。顔を洗い、うがいをする。

朝ごはんを満足するまで食べる。食品は衛生管理が行き届いている。

こんなの奇跡でしかないのに。

奇跡の連続の中で生きている。

人類の歴史で、きっと大半の人が夢見た奇跡。その幸福を全て手に入れた日々だ。

毎日、その感謝を捧げ続けても足りないぐらいだ。

でも、人は物語の中で死ぬ。衣食住が満たされていようとも、物語に追い詰められて人は死ぬ。

私にとっては、飢餓より、職場の人間関係の方がリアルに映る。

歴史の中で、ユートピアを夢見たかつての人々は想像できただろうか。衣食住が満たされた奇跡の日々に、人が物語の中で自ら死を選ぶことを。

みんな違って、みんな違う地獄がある。

きっとどちらも地獄なんだろう。

誰かの物語を生きることはできない。ユートピアの中で奇跡を感じられない。

日々に感謝を捧げることを続けられない。

きっと、幸福に麻痺している。

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